平成27年度第1回お達者出前講座
テーマ:こころも体も動けば笑顔いっぱい!
日時:2015年(平成27年)5月16日(土)、13時30分~16時00分
対象者:気仙沼市 鹿折地区老人クラブ高齢者
参加人数:34名
会場:東中才一区振興会館(気仙沼市東中才145-2)
司会進行:岡本多喜子(明治学院大学 社会福祉学科教授)
第1部:13:30~14:00
介護予防体操(脳レク体操)『レクしましょう(体も心もリフレッシュ)』
講師:上野幸(余暇問題研究所 主任研究員)
第2部:14:00~15:00
ミニ講座『こころも動けば笑顔がいっぱい!』
講師:中村淳子(田中教育研究所常務理事、前桜花学園大学教授、臨床発達心理士、日本老年行動科学会事務局長)
第3部:15:10~15:30
エクササイズ『音読計算で認知予防』
ファシリテーター:高橋伸子、坂口佳江、小田博子
第4部:15:30〜16:00
座談会『いろいろ話しませんか・・・』

<活動概要>
第1部
身体を大きく使ったジャンケンゲームや、変則的な指折りと同時に数を唱える(右手はパーから折っていき、左手はグーから開いて数えていく・・・)など、通常とは異なる抑制的な動作を次々に行うレクレーションを上野氏の指導で行いました。
参加者の間では、頭では分かっていても行動が伴わず失敗するお互いをみて、あちこちで大笑い、苦笑いが広がりました。鹿折地区は最も多くお達者出前講座が開かれており、“脳レク”には慣れている人も多かったのですが、上野氏の巧みな誘導で体がほぐれ、暖かくなっていくのを皆さんが実感されたようでした。
第2部
躰がほぐれたところで以下の3種類の遊びを通して、今度は心をほぐす作業を中村が中心となって行いました。
- クイズ形式を多用しながら「心はどこにあるの?」「心はみえるの?」「心はどんな形?色?」などを参加者だけでなくファシリテーターも加わって楽しく考えてみました。
- クレヨンを用いてScribble(なぐり描き)法を行い、二人一組で様々な図形を発見する遊びを行いました。
- 5〜7人のグループに分かれて、風景構成法を集団にアレンジした(解釈を行わない)投影法を実施しました。
*2. では、次々と220様々なものを見出しては、互いに感心したり笑いあったりのペアもいれば、なかなか見つけられない(何も見えない)ペアもあり、個人差(柔軟性、想像性)がみられました。しかし、他のペアの作品に感心したり、それをヒントに手を加えたりと、皆さんが楽しんでおられました。
*3. では、大勢が関わることで思いもよらない作品となり、あちこちで笑い声が起こり、それぞれの人柄も浮かび上がってとても賑やかなワークとなりました(次々と描かれる川や山・・・についてメンバーが様々な感想を述べ合いながら行いました)。この共同作業は心を開放する効果があると思われます。
例えば、「この畑、小さすぎやしないか・・・」「流されたんだから仕方ないさ」「これ秋刀魚?川にはいないよー」とか、黒で描かれた鳥を「カラスが飛んでいるのですね」とファシリテーターが尋ねると「カモメだよ。太陽に照らされるとカモメは黒に見える・・・知らないの〜」。縁取りを黒で書いたところ、「これじゃ黒枠じゃないの!」との言葉に、即座に黄色で模様を描いて立派な額縁に仕上げてしまった。などなど、どんどん絵に手が加えられ、話も弾んでいくのでした。

最後に6グループの作品をホワイトボードに掲載して観賞しました。なぜか懐かしい風景や美しい風景、楽しい風景が展開されて、同じ手順で同じことをしたはずなのに6グループ各々に特徴があり、まったく異なる風景になったのが面白いことでした。
第3部
当初はゲストの予定であった立命館大学、人間科学研究所のメンバーは、かねてから認知予防研究の一環として「音読・計算」を地域(京都)の高齢者を対象に行っています。せっかくの機会であるため、今回エクササイズとして音読・計算を実施してもらいました。
高橋氏をリーダーとして坂口氏、小田氏がファシリテーターとなって参加者を導きながら簡単な計算をしてもらい、採点をペアになって行いました。計算では全員が100点をとり、音読では京都らしい文章を全員で唱和して自身の声に聴きほれる体験をしました。
第4部
岡本氏の進行で気仙沼での美味しいものについて参加者同士で語り合っていただきました。「今年は海(ほ )鞘(や)に貝毒が出て不漁かもしれない」「今は鰹が旬で美味しい」などなど、気仙沼の美味しいもの自慢に花が咲きました。
平成27年度第2回お達者出前講座
テーマ:こころも体も動けば笑顔いっぱい!
日時:2015年(平成27年)5月17日(日)、9時30分~11時45分
対象者 :気仙沼市 気仙沼地区老人クラブ高齢者
参加人数:2名
会場:気仙沼中央公民館条南分館(気仙沼市田中前4-8)
司会進行:岡本多喜子(明治学院大学 社会福祉学科教授)
ゲスト:大川一郎(筑波大学大学院教授、日本老年行動科学会会長) 神田尚(筑波大学社会人大学院等支援室)
第1部:9:40~10:00
介護予防体操(脳レク体操)『レクしましょう(体も心もリフレッシュ)』
講師:上野幸(余暇問題研究所 主任研究員)
第2部:10:00~11:00
ミニ講座『こころも動けば笑顔がいっぱい!』
講 師:中村淳子(田中教育研究所常務理事、前桜花学園大学教授、臨床発達心理士、日本老年行動科学会事務局長)
第3部:11:10~11:35
エクササイズ『音読計算で認知予防』ファシリテーター:高橋伸子、坂口佳江、小田博子

<活動概要>
参加者数が少ないため第4部の座談会は割愛しましたが、その他は前日の鹿折地区と同様の内容で行いました。
この日は大川会長、神田氏もゲストで来られましたので支援者側が8名となり、2名の参加者と共に活動を楽しみました。共同での風景構成法では、男性の参加者が飛行機を描きました。

そして自身が学徒召集で東京に行かされたこと。東京の空襲が恐ろしく怖かったこと。あわや広島に派遣されるところだったが、終戦となり命拾いをしたこと。などを語られ、「決して戦争はしてはならない」と真剣に話しておられました。女性の参加者は小物を製作するのを趣味とされておられ、作品をスタッフにプレゼントしてくださいました。
<活動を終えて>
気仙沼地区(気仙沼市は鹿折,気仙沼,大島,新月,唐桑,本吉の6つの地区に分かれています)の支援は今回初めて企画されたせいもあり、結果的に2名の参加者にとどまりました。

当日(5月17日)は、小学校の運動会が順延された日であり、老人会のメンバーの多くはお孫さんの応援に行かれたものと思われます。帰京してから分かったことですが、気仙沼地区の老人会長から、今回の講座を中止する旨の連絡が学会事務局の留守番電話に入っていました(参加されたお二人には、その連絡が届かなかったものと推察されます)。このように行き違いがあったことは残念ですが、参加のお二人がとても満足して帰られたのはうれしいことでした。

鹿折地区、気仙沼地区ともに、共同で風景画を製作したことをきっかけに参加者同士の会話がはずみ、心の交流がなされたものと思われます。また、クレヨンの柔らかな感触が心を解き放ち、イメージを表現することの快感を生じさせたと推察されます。そばで援助していたスタッフにもそのことが伝わり、全体によい時間が流れていきました。脳レクからはじまり、音読計算のエクササイズで閉められた今回の講座では、たくさんの笑顔が引き出されました。本年度(平成27年)のテーマ「こころも体も動けば笑顔いっぱい!」にマッチした“お達者出前講座”だったのではないでしょうか・・・。

険しい作業道を運転してやっとたどり着いた展望台!それは見事な眺めでした。
(中村淳子)